日本では「社交ダンス」「ソシアルダンス」など呼ばれているこのダンス、実は、海外では舞踏室(ボールルーム)で踊られることから「ボールルームダンス」と呼ばれ、紳士・淑女のダンスとされています。競技も盛んで、毎日のように世界中の至る所でダンス競技会が開催されています。
観客が求める美しさ
スポーツ的要素も色濃いダンスですが、フロア上ではマナーのある振る舞いを求められます。たとえば、観客の目が厳しいヨーロッパの競技会では、他のカップルとぶつかったときや、滑って転倒した時など、その後の振る舞いに観客の目が集まります。
ハプニングが起きた時の処理に美しさがあれば、たとえ競技中であろうと拍手が起きます。競技者にとっては、そういった瞬間こそ緊張が垣間見られる一瞬なのかもしれません。
ひとたびダンスフロアに立てば、美しく舞うだけではなく、常日頃よりダンサーとしての心構えや鍛錬を積んだ成果も求められます。観客にとっては、心身ともに磨かれた彼らの姿を見ることこそが、競技観戦の楽しみなのです。
親まれる社交ダンス
日本では、比較的高い年齢層において楽しまれています。
競技をメインとする競技ダンスにおいても、例外ではありませんが、ここではより親しまれている「社交ダンス」について触れてみたいと思います。
社交ダンスが幅広い年齢の方に受け入れられている理由として
「何歳からでもはじめられる」
「体の柔軟性がなくても踊れる」
「カップルダンスである」
ということが挙げられます。
特殊なバリエーションのステップを選択しない限り、大きく足をあげたり、反ったりする必要はありません。ベーシックのステップの連続だけで、充分に楽しく、そして美しく踊れます。また、パートナーや先生と組んで踊るダンスにも楽しみがあります。
自分の姿勢や体を見直すきっかけにもなることから、リハビリの一環として始められる方もいらっしゃいます。ダンスをしておられる方々は、いつも健康で活き活きとしているのは、このためです。
ダンスの魅力
現在、当教室には、小学校低学年から、80代までの生徒さんがいらっしゃいます。
皆さんに、ダンスのステップをお教えし、楽しくダンスを学んでいただくのはもちろんのこと、私達はダンスを通じてダンスと出会う前よりもっと心豊かに、自分自身を育てたり、慈しんだりするお手伝いができればと思っています。
子供さんには、音楽のリズムの取り方や体のバランスの取り方、ちょっとオマケですが、ダンスに出てくる英語の勉強などもします。
20代・30代の方には、美しい姿勢を維持するための軽い筋力トレーニングやストレッチの方法、競技志向の方には熱血指導でたっぷりと汗をかいていただきます!
中高年の方には、より長く健康で活躍していただくための体のメンテナンス方法や、自分の生活習慣を見直していただけるよう指導しています。
音楽があり、ステップがあり、共に手を取って踊るパートナーがいて、ダンスはとても楽しいものです。その楽しさを学んでいただくのは一番のことですが、付随して「レッスンに来るようになってから腕があがりやすくなった」「ストレッチの習慣ができた」「痩せた!」などの言葉をいただくとき、私たちもとても嬉しくなります。
必要なのは、1足のダンスシューズとあなたの勇気
ダンスはじめませんか?と尋ねた時、首を大きく振って断る三大理由が次の内容です。
「体かたいから」
「リズム感ないから」
「お腹が出ている(太っている)から」
これらは実はまったく気にしなくて良いのです。言い換えれば、社交ダンスは、体が硬くてもトップになれる唯一のダンスです。
過去にドイツでダンスキャンプに参加した際に、名だたる世界のファイナリストたちが、前屈で手が床につかず唸っていました(もちろん彼らにはそれを凌駕する特殊な筋力がありますが)。
また「リズム感はどうなの?」と思われるかもしれません。リズム感は、確かに素養として持っている人とそうでない人がいます。しかし、実際は訓練でなんとでもなります。
音楽を聴いて手拍子の打てなかった人が、デモンストレーションで美しく踊れるようになるケースは数知れず。また、個人差はありますが、真剣にレッスンしていると身体は締まってきます。これは「単に動くから」「汗をかくから」というだけでなく、姿勢を維持しなければいけないからです。正しい姿勢で運動するということは、実は想像以上に全身を使います。
何歳からでもスタートできて、体が柔らかくなくても、リズム感がなくても、体型に自信がなくても全然大丈夫!
必要なのは「1足のダンスシューズ」と「扉をあけるあなたの勇気」だけです。飛び込んでみたら、ためらっていたことが嘘みたいに思えることでしょう。
(文:吉岡正樹・大橋恭子)
ソシアルダンス10種
ソシアルダンス、という言葉をご存知の方は多いと思います。TVでの講座や、映画、ケーブルテレビなどでご覧になった方もおられるのでは?一言にソシアルダンスといっても、いわゆる社交ダンスと呼ばれるクラブ・パーティーダンス、スポーツ的色合いの濃い競技ダンス、身体能力と高い芸術性を求められるショウダンスなど、様々なスタイルがあります。今回は、ソシアルダンスで一般的に踊られる、10種類のダンスについてご紹介いたします。